2018年3月定例会 青木永六議員の一般質問
JUGEMテーマ:共産党(日本共産党)
以下は四国中央市議会の2018年3月定例会における青木永六議員の一般質問です。
【一般質問テーマ】
1.市税などの滞納整理に憲法遵守を
1)差し押さえ等法的整理と納税者の権利
2)滞納整理に憲法25条は尊重されるのか
3)新設される債権管理対策室は徴収強化策か
2.進む貧困対策に生活保護の支援を
1)申請権は保障されているか
2)扶養照会や就労支援等に権利が尊重されているか
3)実施体制と保護基準見直しの影響を問う
3.市民負担増が懸念される下水道事業の公営企業会計化
1)公営企業会計処理による経費増大と独立採算の原則
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1.市税などの滞納整理に憲法遵守を
1)差し押さえ等法的整理と納税者の権利
青木永六議員
本議会最後の質問者でございます。どうかよろしくお願いをいたします。
それでは,早速通告に従いまして質問に入ります。
最初の問題は,市税などの滞納整理に憲法の遵守をと,この問題であります。
中小業者の夫婦と小中学生の子供2人の4人家族,事業所得300万円と妻のパート収入100万円の世帯にかかる税金や社会保険料負担は,所得税・住民税の直接税が約27万5,000円,国民健康保険料が55万3,700円,国民年金2人で38万6,200円,合計約121万5,000円であります。この家庭は奥さんのパート収入がなければ成り立ちません。今,税や社会保険料の滞納問題が大きな社会問題になっていますが,払いたくても払い切れない制度のあり方が大問題であることを指摘をしておきたいと思います。
そこで,1つの質問は,差し押さえなど法的整理と納税者の権利についてであります。
市税の滞納整理は,1つは愛媛地方税の滞納整理機構へ移管をする,この方法と,当市の徴収係の自力差し押さえの整理,この2つであります。
滞納整理機構には年間40件を移管し,他に移管予告文書などでの徴収強化にも利用をしています。
また,独自に行う差し押さえの執行は,平成27年度20件,平成28年度が6件,平成29年度が1月までで39件,この執行額が約5,300万円,取立額が950万円と,件数,金額も大幅に増加をし,中でも差し押さえに保険が15件,給与・年金が8件と,差し押さえの禁止財産にまで踏み込んでいる徴収行政に私は憂いを感じざるを得ません。
特に差し押さえ実績を誇らしげにネットやテレビまで使って宣伝をする滞納整理機構の姿は,自治体財政の逼迫があるにせよ,異様な感じを受け,もはや行政とは言いがたい状況にあると言わざるを得ません。
憲法31条は,何人も法律の定めによる手続によらなければその生命もしくは自由を奪われ,またはその他の刑罰は科せられないと適正手続の保障がございます。
また,30条は,国民の納税義務は法律の定めるところによってのみ負うと,それぞれ租税法律主義の原則がうたわれておりまして,税の賦課徴収も一体であり,当然徴収手続も含むと解されています。
そこで,1つは租税徴収面における応能負担の原則とは,憲法の要請に基づく徴収手続上の緩和制度であると捉えるべきであるとされておりますけれども,この点の認識をまず問うものであります。
そして,具体的には,差し押さえなどの強制処分に対する滞納者や利害関係者への保護・配慮,また納税の緩和に関する分納や処分停止などの運用,さらには延滞金などの減免などの救済規定などの実施でありますけれども,この点,滞納者への周知や過去の実績状況をお尋ねするものであります。
また,同時に,分納誓約書は納税者の法定権利の尊重には当たらないと,このように考えるところでございますけれども,あわせて考えをお尋ねします。
また,納税者の権利保護の立場から,滞納整理機構は脱退を求めたいと思います。
以上について答弁を求めます。
税務課長
お答えいたします。
まず,租税徴収面における応能負担の原則とは,憲法の要請に基づく徴収手続上の緩和措置であると捉えるべきであるでございますが,市税の賦課につきましては,所得に基づいた所有固定資産に基づくものでありますので,応能負担の原則となっております。
徴収につきましては,憲法30条の納税の義務に基づくものと捉えております。
続いて,納税の緩和措置につきましては,地方税法15条に徴収の猶予,換価の猶予,滞納処分の停止等がうたわれており,納税者本人または生計を一にする親族が病気や負傷したときなど一定の事由に該当し,納付すべき税金を納付することができないと認められる場合は,申請に基づき1年以内に限りその徴収を猶予することができる等とされております。
当市では,納税の緩和措置を実施した実績はございませんが,適用市町村の事例等を参考に,市民への周知も含め今後前向きに取り組んでいきたいと考えております。
現在までは滞納者との納税相談時にその事情等を聴取し,生活困窮者への配慮や納税義務者の担税力を考慮し,適宜分納誓約書による分割納付などの事実上の猶予として緩和措置を講じております。
分納誓約書につきましては,徴収の猶予や換価の猶予といった法的措置を講じたものではなく,全てが事実上の猶予として分割納付を認めたものでございます。
滞納者との信頼関係の構築に重点を置き,納税相談を行っておりますことを御理解賜りますようお願い申し上げます。
また,滞納整理機構からの脱退を求めるにつきましては,設立から13年目を迎えようとしておりますが,平成18年度から28年度までの徴収実績の合計額は税額で約3億119万円,延滞金を含めると約3億7,666万円であり,滞納整理機構への移管予告催告書の発送が滞納の抑止力としての効果も大変大きく,実績以上に貢献いたしております。
なお,高額の処理困難な滞納案件は,徐々に減少傾向にありますけど,少額でも市独自では処理困難な複雑な案件が増加傾向にあります。滞納整理機構でないと処理困難な案件がまだ数多く存在しているのが現状でありますので,滞納整理機構の脱退は難しいと考えております。
青木永六議員
答弁にございましたように,滞納整理機構の実績が3億円を超えていると。これは徴収の責任者の立場からは,なかなか脱退ということには踏み込めないという気持ちはわからんこともないんですけれども,有無を言わさないこういうやり方には,冒頭に指摘をしましたように,もはや行政とは言いがたい,そのように感じざるを得ないところでございます。
さて,差し押さえなどの法的整理の関係の問題で,租税徴収面における応能負担の原則というのは,先ほど申し上げましたように,具体的には徴収猶予や換価の猶予,この制度でありますけれども,この点についての少し捉え方は異なるようでございますけれども,前向きに取り組む姿勢が示されました。まずは市民への周知が求められると思います。税金を払う人の権利の一つですから,申告と納税のPRは大々的にするわけでございますから,納めにくいときの制度のアピールにも力を入れてほしいと思います。この点についてどのように考えておられるのか,お聞かせをいただきたいと思います。
税務課長
徴収の猶予,換価の猶予についての広報・周知についてお答えいたします。
まず,市のホームページに掲載を行い,市報におきましても時期を考慮して掲載をしたいと考えております。
市のホームページにおいては,申請様式等も掲載し,より申請がしやすいよう改善したいと考えております。
青木永六議員
ホームページということでございますけれども,ぜひ,これホームページではなかなか見られる人が限られておろうかと思いますので,ぜひ市報などでの周知を御検討をいただきたいとお願いをしておきたいと思います。
また,この点については,これまで職員の皆さんも実施はされてないということでございまして,ぜひ勉強をしていただきまして,少しでも市民の痛みを緩和をさせるということで努力をしていただくことを要望しておきたいと思います。
2)滞納整理に憲法25条は尊重されるのか
青木永六議員
次の問題に入ります。
滞納整理に憲法25条は尊重をされるのかと,こういう問題でございます。
今の滞納の大部分は,負担能力を超えた国税,地方税,国民健康保険などのあり方に大問題がございます。さらに,滞納者の財産状況や生活状況にお構いなしの徴収強化は,大変大きな社会問題であります。税の滞納者も憲法25条は当然尊重されると考えますが,徴収の現場では,滞納者の生活状況は把握をされているのかどうか,またその上で具体的にこの問題にどのように尊重をされているのかについて尋ねたいと思います。答弁を求めます。。
財務部長
お答えいたします。
議員御指摘の徴収現場での対応につきましては,憲法25条で定められた生存権を尊重し,納税相談を行い,市税等の課税状況等を確認いたしまして,無理のない納付計画の相談,納税指導を行っているところでございます。
その上で,納税が困難である方につきましては,財産状況,債務状況を聞き取りいたしまして,納税の優先,重要性を説明した後に,改めまして納付相談を行い,適切な債務整理をされるよう助言を行っているところでございます。
青木永六議員
今の答弁で,無理のない納付計画相談に応じていると。生活の実態や支払い能力も確認をした上で,本人の希望も聞き,納付計画の相談に応じているのかどうかという疑問が湧くわけでございますけれども,今答弁にございましたように,無理のない納付計画相談ということでございますので,今私が改めて問うこの生活の実態,支払い能力,この点について踏み込んで答弁をいただきたいと思います。
税務課長
滞納者の皆さんにつきましては,当然その方の所得,資産等を調査いたします。それと,やっぱり実際の生活実態調査を行いまして,その方がその生活の中で支払える金額というのをこちらで計算いたします。それにつきまして少しやっぱり頑張っていただくということで納税相談をさせていただいております。それによりまして納付誓約書のほうをいただいております。
青木永六議員
今の答弁で少し気になるのが,少し頑張っていただくというところが気になるところなんですけども,ここの少しというところが非常に気になるわけでございますけれども,今の答弁を尊重をいたしまして,今後その方向でやっていただきたいと思うわけですけども,そこで私,今,先ほど来から答弁にございます納税誓約書兼納付計画書というのがございます。この様式,書かれている文言が非常に気になるわけでございます。今課長の答弁では,生活の実態や支払い能力も尊重をするということをおっしゃいました。
1つ御紹介をしますと,これはお互いに協議をいたしまして納付計画書,ことしの今からでしたら3月は幾ら,4月は幾らというふうにするわけですけども,そこの部分について,なお納付不履行の場合,財産上いかなる処分を受けましても不服及び異議の申し立てはいたしません。非常に厳しい文章があるわけでございます。
私先ほど指摘をしましたように,この納付計画書というのは,これは法律上の根拠のない文書でございます。これは専門家が指摘をしているところでございますけれども,先ほど来申し上げましたように,徴収の猶予というのは納税者の権利としてそれは認められてるんです。ですから,申告をして何十万円かの税金を払わなければならない。しかし,やりくりがなかなかつかない。分納させてほしいと。これは市と市民,納税者は私は対等平等だと思うんです。
そこで,市に対しては当然これ納税の義務が納税者ございますから,何年の何月には幾ら払いますという約束をして納税誓約書を入れるわけですけども,しかしこれ今御紹介をしましたように,納付不履行の場合は財産上いかなる処分を受けましても云々というような,これは私ちょっと対等平等の契約書ではないというふうに思うんですけども,その点どうでございましょう。
税務課長
納税誓約書兼納付計画書の記載内容についてお答えしたいと思います。
一応,納付不履行の場合の記載におきましては,納税相談時に合理的かつ妥当な分割納付の計画をされたものでありますので,資力があって不履行となられた際には,市としては滞納処分を行う必要がございます。それは,確認をいただくためにその記載がございます。御理解を賜りましたらと思います。
なお,今後他市の様式等も参照しながら,よりよい様式等がありましたらまた検討したいと考えております。
青木永六議員
他市のも参考にしてということは,他市もこのような文言になっとるということなんでしょうけども,今申し上げましたように,基本的には市と市民ですね,納税者とは対等です。
これもう一つ踏み込んで考えましたら,納付不履行の場合というのはどういうことなのかと。例えば1年分の誓約書,1回でも納付不履行であると。どの時点で,これどのような処分を受けましても,ということなんでしょうか。
これは,役所の皆さんは,もう滞納整理機構から相当勉強してもうプロです。一納税者,市民というのは全然の素人ということです。この問題については。ですから,素人を相手にして赤子の手ねじるようなことをしたんではいかん。これはそこまでする気はないと思いますけど,この点で私ここの文章については再検討をお願いをしておきたいと思うんですけども,この点どうでございましょうか。
税務課長
今御質問ありました納税誓約書につきましては,当然毎月支払う金額等を入れていただいております。その中で生活状態が変わったり,いろいろな状態が起きまして,もし制約が履行できなくなりましたら,再度うちのほうで御相談をいただきながらその滞納者の方に最適な方法をとらさせていただいておりますので,御理解をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
3)新設される債権管理対策室は徴収強化策か
青木永六議員
ぜひ血の通った行政をお願いをしておきたいと思います。
それでは,この項の3つ目に入ります。
新設される債権管理対策室は,徴収強化策かと,こういう問題です。
昨日の篠永誠司議員への答弁にもありましたように,4月よりこれまで財産管理課にありました債権管理対策室を税務課に配置をされます。
今全国の自治体財政が逼迫をする中,徴収できる債権は全て強権的手法も含め徴収するべく債権管理条例や対策課が設置をされてきています。
昨日の答弁を聞いておりまして,当市の対策室もこの方向へ突き進む方針が示されているのではないかと,このように思うところでございますけれども,改めて驚かされましたのは,徴収率の高さであります。平成28年度で市税が98.9,水道が98.84,簡易水道98.13,保育料が98.92,介護が98.79,国民健康保険94.06。この国民健康保険料につきましては,今冒頭御指摘をしましたように,大変に重たいということから鑑みて,大変高い徴収率だと思います。
なお,住宅家賃も平成29年度,公営が99.41,改良が98.84,特定目的が98.33と,このように担当課では限界に近い徴収率まで引き上げています。
これ以上の徴収率を上げるとなると,まさに問答無用の差し押さえの乱発ということになりかねないということを危惧するものでございます。
これからの市民が主役のまちづくり,協働のまちづくりの精神に沿った市民の痛みに寄り添って時には手を差し伸べながら,説得と納得を通じた徴収行政の確立を求めておきたいと思うわけであります。
債権管理対策室の今後の計画などについてお尋ねをいたします。
市長
青木永六議員さんのお話を聞いていると,税にかかわる職員は血も涙もないんかと聞こえますけど,みんなあったかい血を持って公僕として納税義務に精いっぱい努めておることだけ申し上げておきます。
債権管理対策室につきましては,平成28年度の機構改革によって,市の重要な財産の一つである債権をより適正に管理することを目的として財産管理課内に創設されました。
その債権管理対策室の所掌事務は,債権の適正管理にかかわる調査研究及び調整に関することでございまして,具体的な取り組みといたしまして,担当職員で構成される債権管理対策検討会を運営し,情報共有や今後の方策等の検討を行ってまいりました。
また,平成29年度には副市長をトップとする債権管理委員会を設置し,全庁的な推進体制を構築した上で,債権管理に関する事務の一層の強化を図ってまいりました。
税務課に配置する債権管理対策室は,調整強化策ということでございますけど,今回の債権管理対策室が配置される税務課は,滞納整理に培ったノウハウと経験があります。現在所管課が徴収困難になっている強制徴収公債権の事案を新たな室に移管し,滞納整理について調査研究し,債権回収のさらなる充実を図りたいと考えております。
それと,我々公僕は,公平に皆さん方,市民の皆さん方,権利と義務が公正に執行され,運用されること,一つのまた責務だと考えておりますので,ぜひよろしくお願いいたします。
青木永六議員
市長の答弁の中にございましたけども,青木永六議員の発言を聞いてると職員が血も涙もないと。決して市長そのような考えはございませんので,お間違いがないように。さらに血も涙もある行政をということでございますので,ひとつよろしくお願いしたいなと思っています。
2.進む貧困対策に生活保護の支援を
1)申請権は保障されているか
青木永六議員
それでは,次の問題に入ります。生活保護の問題でございます。
2月5日に我が党の志位委員長が,衆議院の予算委員会でこの生活保護問題を取り上げています。
この生活保護につきましては,今問題になっておりますのは,貧困ラインが1994年157万円だったのが,2014年には133万円と,日本だけが下がり続けていること,このことを指摘をすると同時に,生活保護基準未満の低所得世帯に対する被保護世帯数の割合,これが保護の利用率,所得のみの推計では15.3%。さらに,資産を考慮しての推計で32.1%となっている。こういう問題も指摘をいたしました。対象所得者の中での捕捉率ですから,低い実態が浮き彫りになっております。
そこで,この生活保護に対しましての申請権は保障をされているのかと,この問題でございます。
生活保護法の第1条には,この法律は日本国憲法第25条に規定をする理念に基づき,最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長することを目的とするとされ,事務次官通知は,生活保護は申請に基づき開始することを原則とし,相談者の申請権を侵害していると疑われる行為は厳に慎むと,申請権は絶対と,これを明記をしています。
この上で厚生労働省は,制度の説明資料,申請書などについて,保護の相談窓口に常時配置するなど,適切な対応を徹底すること。保護の相談があった場合は,相談者の状況を把握をした上で,他施策の活用などについての助言を適切に行うとともに,保護制度の仕組みを十分説明し,申請の意思を確認することなど,申請権を保障をしています。
そこで,過去に当市でも申請をさせてくれない,相談扱いとして私にも訴えてこられた方もおりますけれども,これらの原則がどう実行をされているのか,これを問うものであります。
また,当市の相談者と申請の関係ですが,一番直近の平成29年度で,年の途中でございますけれども,相談件数97件,うち申請件数が65件,申請率67%という状況で,3割の方が申請に至っていない。また,申請しなかった32件のうち申請の意思なし14件,資産の活用5件,その他となっているわけでございますけれども,生活保護の相談に来て申請の意思なしとは,少しひっかかる点でございますし,他法活用や資産の活用など対応の内容など,まず申請の意思を確認をして受理を優先する点に若干の疑問を感じざるを得ません。説明を求めたいと思います。
福祉部長兼福祉事務所長
生活保護に関して申請権は保障されているかという御質問でございますが,議員御指摘のとおり,生活保護は申請に基づく開始が原則となっており,保護の相談に当たっては,相談者の申請権を侵害しないことはもとより,権利侵害を疑われる行為も厳に慎むこととされております。
本市の生活保護相談におきましては,その場で申請書を受け付けることを前提とした対応を行っており,生活保護の手引きなどの説明資料,申請書,資産申告書及び収入申告書のほか,金融機関等に対し,保護の決定に必要な書類の閲覧または資料の提供もしくは報告を求めることについての同意書などを相談窓口に常備しております。
したがいまして,保護申請に係る御本人が相談に来られた際には,対象世帯の生活困窮状態や窮迫度の把握に必要な聞き取りや保護制度の説明を丁寧に行った上で申請意思を確認しており,申請を望まれる場合には,適切な助言によりその場で申請書に必要事項を記載していただき,受理することといたしております。
議員お尋ねの相談件数の処理分類におきます申請意思なしという事例といたしましては,世帯員の傷病等による入院等に伴う医療や介護等の費用負担で生活に困窮するなどの理由で,念のため生活保護制度についての説明を聞きに来られるケースなどが主なケースでございます。
また,資産活用により申請を見送る事例といたしましては,不動産などの財産処分を初め,預貯金や生命保険の解約返戻金等の生活保護における取り扱いを説明した結果等によるものでございます。
一応対応につきましては以上のようになっております。
青木永六議員
今答弁ございましたように,全体としては今私指摘をさせていただきました厚生労働省の指導に沿った形でやられておるんかなというふうに思うわけでございますけども,そこでもう一つの問題は,保護率の問題でございます。
少し御紹介をいたしますと,平成29年度までの65歳単身世帯の生活扶助基準本体の基準額は,1カ月6万7,310円でございます。これに対して国民年金の老齢基礎年金,これ満額が1カ月6万4,941円,平成29年度です。また,平成29年度の市民税課に申告された申告所得,50万円以下の方が1,015人,50万円から100万円以下の人が3,626人という状況でございまして,これらの事実は四国中央市にも生活保護基準以下の収入で生活されている人が多いということがうかがえると思います。
当市の保護率の関係でございますけれども,平成28年度の成果報告書で,平均593世帯776人,人口比の保護率は0.89%ということになっています。
先ほども申し上げましたように,我が党の志位委員長が予算委員会で指摘をいたしましたこの生活保護基準未満の低所得世帯数に対する保護率,これは所得のみの推計で15.3%ということなのでございまして,全体としては捕捉率や保護率が低いというふうに考えているわけですけども,その点のお考えをお尋ねいたします。
福祉部長兼福祉事務所長
生活保護の捕捉率につきましては,代表質問における三好 平議員にもお答えいたしましたとおり,非常に積算方法にさまざまな課題がございます。
例えば,議員御指摘のように,所得のみの推計では15.3%でございますが,実はこれ厚生労働省の全国生活実態調査におきます抽出調査でございますが,その中には実は生活保護世帯を抜粋できない,データ上できないということで,実際に生活保護を受けられてる方もその分子部分に含まれてしまうということで,どうしても実態よりも保護率は低くなってしまうというような問題がございます。
それと,所得上の取り扱いですね。住宅ローンを入れるのかどうかといったような問題,さまざまな課題がございまして,そういうことで三好 平議員さんに御説明したとおり,厚生労働省も平成22年度以降この見直しを行っておるところでございます。
当市の保護率でございますが,御指摘いただきましたように,0.89%でございます。県下これを平均しますと,済みません,これ通常生活保護の場合パーミル,1000分の1ですね,ということで説明させていただきますと,当市は8.71パーミル,県平均では15.2パーミルということで,当市の場合は比較的低い水準で推移しております。
議員御指摘のとおり,他市の状況等を鑑みますと,近隣の自治体といたしまして,新居浜市が10.87パーミル,西条市が6.22パーミル,観音寺市が4.0パーミル,三好市が17.4パーミルとなっておりまして,当市だけが突出して低いというわけでもございません。保護率にはその地域の産業構造や経済情勢,社会的風土や土地柄など,さまざまな地域特性が影響していると思われますので,この点どうか御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
青木永六議員
今の部長の答弁でございますけれども,政府は,私今紹介をしました捕捉率15.3%,所得のみでね。これは2010年度の民主党政権時代の厚生労働省調査です。
先般の予算委員会でも明らかになったんですけども,その後政権は本格的な調査をしていないということもはっきりいたしました。その点では,民主党政権は偉かったということを志位委員長も評価をしておりました。
そこで,県下の率ですけども,今部長紹介したのは,低いところばっかりあんた紹介したんです。私も紹介しようと思うて県の統計資料も持ってきとんですけども,例えば松山市,平成28年度の関係ですかね,平成26年度で県下の保護率1位が松山,うちの3倍以上です。2.46%,100分率でね。2位が宇和島,2.21,3位が愛南というふうになっていくわけですけども,県下20市町で言いましたら私どもは13位ということなんです。
もう一つ御紹介をしなければなりませんのは,当市の保護率は,平成24年度で0.75,平成25年が0.78,平成26年が0.82,平成27年が0.85,平成28年度が0.89というふうに,5年間ほとんど変わらないんです。0.14%の微増はあるんですけども,これちょっと私に言わすと,何か調整的なものも感じるところもないことはないんですかね。それは否定されるだろうと思うんですけども,余りにも同じような数字が並んでいる。それはもちろんやられてはないだろうというこの信頼は持ちながらも,そういう感じも持たざるを得ないという。
これは県下の状況も同じなんです。松山,宇和島と非常に高い,うちの3倍ですというふうな,これも何年来ずっと続いている。調べましたらそういう状況でございます。
何を言いたいかといいましたら,冒頭に先ほど御指摘しましたように,生活保護基準で生活している人というのはたくさんいるんだと。そういう状況だから,先ほど御紹介しましたように,厚生労働省の指導指針など職員の皆さんに厳格に守っていただいて,生活保護を胸張って受けられるような状況もつくる必要があろうかという立場からこういう意見を申し上げているところでございます。
時間の関係で先に進ませていただきます。
2)扶養照会や就労支援等に権利が尊重されているか
青木永六議員
扶養照会や就労支援などに権利が尊重されているかという問題であります。
扶養は保護の要件ではなく,仕送りがあった場合,収入認定するにすぎないというのが法の趣旨であり,立法当初から争いのない解釈であるそうであります。
この点,厚生労働省解説は,子供の父母への扶養義務は,自分の生活を社会的にふさわしい範囲で行った上でなお余裕があれば仕送りを検討していただくといった弱い生活扶養義務であることにも注意が必要です。このように明快に書かれています。
そこで,扶養義務者の照会段階で当市の中でも仲の悪い親族,役所から援助要請の文書が行ったり,それを出されるんだったらということで申請を諦めた人もいるというふうにも聞くわけでございますけれども,このような申請者への説明は厚生労働省解説と局長通知など正確に説明をされておられるかどうか,また文書の運用をどのような形でされているかということを尋ねたいと思います。
さらに,この項では,過去には65歳までは就労可能年齢として余りな就労支援も行わずに申請もまともにさせないという不幸な時期が一定期間ございました。最近の就労支援策は,厚生労働省のこの解説,局長通知に具体的にどのように対応されているか尋ねたいと思います。
福祉部長兼福祉事務所長
扶養照会並びに就労支援の状況等に対する御質問にお答えいたします。
生活保護法第4条は,民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,全てこの法律による保護に優先して行われるものとすると規定されており,扶養は優先であって要件ではなく,扶養がなされないことをもって保護を受けられないということはございません。
また,扶養義務者の扶養が資産となり得るためには,扶養義務者が扶養の能力と意思を有していることが必要であることについても重々説明しております。
このことから,申請者から申告のあった扶養義務者に対しましては,法的根拠を明示した上で援助を求めるための扶養照会を行い,扶養の能力と意思が確認できた方に金銭や精神的な援助をお願いしておる状況でございます。
次に,要保護者の就労支援につきましては,稼働能力があり,勤労意欲のある方に対しましては,ハローワークにおける求職活動等を助言しております。
また,必要に応じて就労支援員が就労に関する自立支援プログラムへの参加を勧め,ハローワークへの同行訪問や相談支援などにより求職活動をサポートしておりまして,各種制度を積極的に活用して経済的自立に向けた就労支援を行っております。
青木永六議員
答弁にもございましたように,生活保護といいますのは,国民の生存権を保障をしていくという立場から戦後いち早くやられている制度でございますけれども,この点,我が日本には生活保護制度しか国民の生存権を保障をしていく制度がない,最初で最後の制度だというふうに言われておる関係で,非常に重要な制度だと思うわけであります。
基本的には扶養照会の問題についても正確にやってるという答弁でございますけども,私ここで先ほど来指摘をしておりますように,保護率が低いという問題に,これ当市の問題でない,日本全体が非常にそういう状況になってるというのは御紹介をしたとおりなんですけども,この点について市民,国民の中に生活保護というのは何か恥だという,片仮名でスティグマというふうに言われているようですけれども,この意識の払拭が非常に重要なということを言われています。
先般の国会でも,我が党の志位委員長は,これは生活保護制度じゃなしに,生活保障法に名前を変えようじゃありませんかという提案をいたしました。
調べましたら,これ日本弁護士連合会が2009年にこの提起をいたしております。この制度が国民の権利であることを明らかにして,制度の広報・周知を義務づけて,恥意識ではなくて,本当に生活ができなくなった方については,自分の権利として堂々と制度の適用を申請できる,そういう状況をつくっていく必要があるという立場から我が党の志位委員長も予算委員会でこの点を提案しているわけですけども,私もこの立場から今,るる皆さんに質問をしているところでございます。
3)実施体制と保護基準見直しの影響を問う
青木永六議員
この問題の最後は,実施体制です。非常に生活保護係の皆さん,なかなか大変なことは日常の業務を見ながらよく理解をしているというふうに私自身は考えているわけでございますけれども,この点でちょっと御紹介しますと,総務省が平成25年8月から9月に全国で102の福祉事務所の現業員の実態調査というのをしたようです。どの業務に負担が大きいかという問いに対して,被保護世帯に対する訪問計画に対する訪問調査が,240人の方,31.7%の方が,非常に就労支援対策,再保護対策,関係機関との連携など,現在の取り組みについて十分だと思うか,そう思わないとも言いつつ,この240人の人が負担が大きいということを答えられているようであります。
そこで,1人80人というのがケースワーカーさんの担当の限界人数と示されているようでございますけれども,当市の場合,この実施体制のケースワーカー1人当たりの人数あるいは査察の指導員,ケースワーカー7人に1人が必要ですというふうにも言われております。社会福祉主事や専門職の配置,これらについて当市の今の体制をお尋ねしたいと思います。
副市長
これにつきましては,私からお答えをしたいと思います。
お尋ねの実施体制を申し上げる前に,青木永六議員も御承知のことと思いますけども,法的な配置基準,これについて申し上げておきますと,社会福祉法第15条では,福祉事務所に査察指導員そしてケースワーカーを配置すること,そしてこれらの所員は社会福祉主事でなければならない旨が規定されております。
さらに,同法第16条におきましては,ケースワーカーの数は,被保護世帯数が240世帯以下の場合は3名,その世帯数が80を増すごとに1名を増員することと規定をされております。これは御案内のとおりだと思います。
当市の体制でございますけども,被保護世帯数が574世帯でございますので,お尋ねの現体制につきましては,社会福祉主事あるいは社会福祉士の資格を有した職員で査察指導員1名,それからケースワーカー9名,うち2名が社会福祉士の資格を有しております。そういった体制の中で社会福祉法に定める配置基準を満たした体制で実施をいたしております。
青木永六議員
時間がございませんので,一言だけ申し上げておきたいと思うんですけども,資料を出していただいて少しつぶさに見たんですけども,80世帯を超える世帯を担当しているケースワーカーさんが3名,69名から79名世帯までの担当が4名だというようなことになっておりまして,これはなかなか難しいところだと思うんですけれども,やっぱりベテランの方に非常に荷物がかかってきているというふうにも見られるところでございます。この点の今後の是正の問題あるいは端から見てて専門職の配置,いろいろな知識や経験などを持った方が数名おいでて相談に乗るよというような体制がつくれるのは理想だと思うんですけれども,そういう方向も視野に入れながら今後の取り組みをお願いをしておきたいと思います。
3.市民負担増が懸念される下水道事業の公営企業会計化
1)公営企業会計処理による経費増大と独立採算の原則
青木永六議員
それでは,最後の質問に移ります。
市民負担増が懸念をされる下水道事業の公営企業会計化の問題でございます。
御案内のように,3月号の市報にこの問題が掲載をされております。内容を読みましたら,公営企業会計化に移行することによる効果として,1番目に経営や財政状況の明確化,2番目に減価償却の計上で原価計算・損益計算が明確になりますというようなことが効果として上げられておりますけれども,デメリットのほうについては書かれておりません。
この点で,市民の立場からは,新たな負担増のおそれがあるのではないかと,こういう立場から私質問をするわけでございまして,公営企業というのは独立採算が原則です。経営が赤字になる,あるいはまた将来の下水管設備の更新など,この料金の負担,これにつながっていくおそれが大きいのではないかと,このように思うわけでございますけれども,そこで新年度,平成30年度の予算書で見られる特徴点を何点か指摘をして見解を問うものであります。
1つは,過去の管路設備などの減価償却費の資産総額,これは予算書には書かれておりませんけれども,563億円ということにして,新年度の減価償却費を13億8,699万1,000円,営業経費に計上をいたしております。この経費がこれからの原価計算に大きくのしかかるわけでございますけれども,そこで2点目に,これまでの設備の財源に充てられてきた国庫補助金などのうち,減価償却費に計上される分を前受け金の戻し入れとして収益に計上をされております。これが6億2,115万5,000円ということでございます。
この数字だけを見ると,減価償却費が,今申し上げましたように,14億円近いですから,相当な赤字が出るじゃないかというような発想も出てくるかもわかりませんけれども,そこで一般会計からの繰入金の総額というのが10億5,701万8,000円,これは前年比で約1億円の増ということになっております。
詳細は申し上げられませんけれども,このような処理をして最終的には122万6,000円の利益を計上をしております。担当課でお尋ねをいたしますと,大体この数年間100万円程度の利益が出るような見込みの損益計算をつくられているようでございます。
結論といたしまして,一般会計の繰入金を1億円増額をして黒字化,122万6,000円の黒字に持っていってるというふうにうかがえるわけでございまして,この点から,冒頭に申し上げましたように,企業会計,これは独立採算が原則でございまして,早晩受益者負担などの原則,このようなことが強められて将来市民負担の大幅な増加,これにつながっていくんではないかと,このように懸念をするものでございます。見解をお尋ねいたします。
建設部長
公営企業会計処理による経費増大と独立採算の原則による管路施設等の更新整備も負担転嫁のおそれの御質問についてお答えいたします。
近年の人口減少等による料金収入の減少,施設設備の老朽化に伴う更新投資の増大など,厳しさを増す経営環境を踏まえ,地方公共団体が公営企業の経営基盤の強化や財政マネジメントの向上等,さらに的確に取り組むために,国は地方公共団体が運営しております公営企業の経営基盤強化を的確に取り組むことができるよう,地方公営企業法を適用していない下水道事業等を対象に法を適用して公営企業会計へ移行するよう求めております。
当市の下水道事業は,国のこうした要請に基づき,平成30年4月1日から法の一部であります財務規定等を適用して公営企業会計へ移行いたしますが,移行前におきましても,法の適用を受けてはおりませんが,公営企業と位置づけられ,独立採算の原則が適用されておりまして,経費の負担区分において雨水処理に係る経費など公費負担分とされたものを除き,その事業に伴う収入をもって事業の経費を賄うことが求められています。
事業の継続に必要となる維持管理費や資本費を賄うための収入は,受益者負担の原則に照らして下水道使用料が収入されることが求められており,市町村合併以降,過去3回の使用料改定では,(質問時間終了の合図)平成19年度は23.35%,平成22年度では12.56%,平成26年度では消費税増税分のみの値上げを実施しておりまして,これまでも維持管理費や資本費に見合う下水道使用料の収入が得られるよう使用料の改定が行われてきたところでございます。
下水道施設の老朽化の状況では,当市の下水道事業の開始からの経過年数は,平成29年度末で約46年であり,下水道管渠の耐用年数は50年ですので,今後下水道管渠の更新時期を迎え,改築費等の増大も懸念されるところとなっておりますが,これにつきましては,中長期的な視点で下水道事業全体の今後の老朽化の進展状況を捉えて優先順位をつけながら施設の改築を進めることで事業費のさらなる削減を図ることを目的としてストックマネジメント計画を作成し,コストの最少化を目指すこととしております。
しかしながら,現状の下水道事業会計では,下水道使用料収入が十分でなく,不足分については一般会計からの繰入金に頼っている状況となっておりますことから,公営企業会計への移行後におきましても,経費節減や未水洗化世帯の普及対策や収納率の向上になお一層努め,収支の改善を図りつつ,将来にわたって下水道事業が安定的に継続していくことができるよう,将来下水道使用料の改定も視野に入れながら経営の基盤強化に今後とも努めてまいりたいと考えております。
青木永六議員
聞いていただいたとおりでございまして,将来に懸念を残しております。
これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
- 2018.04.18 Wednesday
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