2018年6月定例会 青木永六議員の一般質問
JUGEMテーマ:共産党(日本共産党)
以下は四国中央市議会の2018年6月定例会における青木永六議員の一般質問です。
【一般質問テーマ】
1.中小企業振興基本条例で地域活性化に取り組もう
1)四国中央市にも早期に振興基本条例が求められる
2)先進市に習い実態調査・条例・円卓会議の三点セットを
3)統計から見る市内中小企業者の動向と助成制度の充実
2.国保問題について
1)H30年度国保料はどうなる
2)高すぎる国保料、重いペナルティなどの構造問題
3)アメとムチの「保険者努力支援制度」の内容
4)増える保険料の滞納処分、その理由を問う
3.コンパクトシティと公共インフラの確保
1)立地適正化計画における居住誘導区域とは
2)公共下水道整備計画と居住誘導区域外への整備見通し
3)上水道給水整備計画と居住誘導区域外への整備見通し
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1.中小企業振興基本条例で地域活性化に取り組もう
青木永六議員
共産党の青木永六でございます。
きょうは一般質問も3日目ということで,皆さん大変お疲れだと思うんですけども,どうかひとつよろしくお願いをしたいと思います。
最初に,中小企業振興基本条例で地域活性化に取り組もうと,この問題であります。
2010年6月に閣議決定をされた中小企業憲章前文には,中小企業は経済を牽引する力であり,社会の主役である。日本の新しい未来を切り開く上で不可欠である。政府が中核となり,国の総力を挙げて中小企業の持つ個性や可能性を存分に伸ばし,などと中小零細企業が日本経済の軸を担っていることを天下に宣言をしています。
昨今,日本全国で中小企業振興条例で地域をつくる動きが広がっており,四国中央市も本格的に腰を上げるときが来ているとの思いから,改めて質問をするものであります。
1)四国中央市にも早期に中小企業振興基本条例が求められる
青木永六議員
まず1つの問題は,四国中央市にも早期に中小企業振興基本条例が求められるについてであります。
振興基本条例について,米田愛媛県中小企業家同友会専務理事は,地域全体で中小零細企業支援の重要性を認識し,地域全体で中小零細企業の支援を行っていくことを確認をし,宣言するものと指摘をしています。
当市も人口減少社会へ,まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づく活気あるまちづくりへ本格挑戦が求められています。
地域産業の中でも紙産業は,愛媛大学紙産業イノベーションセンターとの連携などで関連業界を含めて前途には明るい展望が開けようとしておりますが,その他の業界では,多くが苦戦を強いられています。
中小企業憲章にも示されておりますように,中小企業が経済を牽引する力であり,社会の主役であるとの位置づけどおり,今後のまちづくりに欠かせない中小零細企業であります。
今地域経済の活性化が求められ,人口減少,高齢化社会へと向かう中,まちづくりに振興基本条例で全業者を視野に入れた取り組みが求められ,振興基本条例づくりをこれ以上後送りできない情勢が来ていると考えるものであります。
県下では,新居浜,東温,松山,伊予,宇和島,八幡浜,大洲の7市1町で実施をされております。全国でも急速に広がっているところでございます。この点についての基本的な考えを問うものであります。
副市長
お答えいたします。
青木永六議員お尋ねの中小企業振興基本条例,これにつきましては,中小企業の振興に対する理念あるいは方針を定めたものとして,青木永六議員御質問の中でも述べられておりましたように,県内の自治体においても制定され,またその動きが見られております。このことは重々私も承知をいたしております。
こうした分野の条例,特に基本という名を冠する条例は,どちらかというと理念条例の色濃い規範が一般的でありますので,条例を制定する場合には,将来にわたって中小企業が光り輝く実効性のある条例でなければならない,このように思っております。
今後そうした実効性のある条例とするにはどうすればいいのか,そういったあたりを今後十分調査研究してまいりたいと,このように思っております。
青木永六議員
という答弁でございますけれども,改めて1つだけお尋ねをするんですけども,今私も申し上げましたように,国の中小企業憲章にも,中小企業というのは地域の,また経済の中心を担っているという点で文字どおり全事業所の中小業者の占める割合99.7だと。100人未満の事業所で言うと75%,300人未満ということになると働く従事者も99%になると,それぐらいのウエートを担っている。そういう立場から米田さん自身も先ほど御紹介をしたような認識を示されておるわけですけども,この点当市でも行政側の皆さんの認識という点で,できるかどうかというふうに改めてこの点だけこの項でお尋ねしたいと思います。
副市長
青木永六議員,中小企業憲章,これ質問の中でも述べられておりましたけども,この憲章の前文に書かれておると。これまさにそのとおりであると私はそう認識いたしております。
やはり地域経済そのものの体力をつけて,未来永劫持続でき得るこの地域の活性化そしてその発展,これには中小企業というのは欠かすことのできない,そしてその役割は大きいと,そのように私は認識いたしておりまして,その振興の支援策,そういったことを講じること,それはいわば行政の責務であると,そのように思っておりますので,今後条例制定をしようがしまいが,そういった地域経済の活力源である中小企業,今後も支援をしてまいりたいと,そのように思っております。
2)先進市に習い実態調査・条例・円卓会議の三点セットを
青木永六議員
実態や重要性については認識をしていただいとるということが明らかになりました。
2番目に進みます。
先進市に倣って実態調査,条例,円卓会議の3点セットをという問題でございます。
この中小企業振興基本条例は,地域産業振興の地域の中小零細企業振興の考え方を産業軸中心,国の施策中心,補助金中心といった従来の考え方から,地域,中小零細企業,創造を中心に,つまり中小零細企業を中心に金,資源の流れや配分を変えて中小零細企業と地域経済の底上げを目指すものであります。
そして,これを実現するためには,まず中小零細企業の実態を把握をし,意識や抱える問題をつかんだ上で解決の方向を示す,そういう基本条例の制定,さらに基本条例を理念条例にとどめない取り組みを進めるということが大事なわけですけれども,経営者や労働者,経済団体,金融機関,研究機関,支援機関などが入った円卓会議や振興会議に取り組んでいく。これが東温市や松山市が実践をされているところでございます。当市でもぜひこのような点を見習ってほしいというふうに思うわけですけども,答弁を求めたいと思います。
産業支援課長
お答えいたします。
中小企業の振興について検討する上では,議員御指摘の実態調査,条例,円卓会議,この3点につきましては非常に重要であると考えております。
愛媛県下では,東温市等において実態調査の結果を踏まえて地域の実情に沿った中小零細企業振興基本条例が制定されているようです。
本市におきましては,条例を制定することに重点を置くということではなく,実情に沿った条例でなければならないというふうに考えております。
まずは実態調査,これによって地域の状況を把握し,条例制定に至るまでの過程において中小企業の皆様や経済関係団体等と議論が熟するまで協議を重ねることが重要であると考えております。
青木永六議員
ということで,この点についても認識は共有をできると,このように思うわけでございます。
当市の場合は,もう御案内のように,紙産業が今御紹介もしたように,産官学の取り組みが大きく前進をしようとしています。伸ばせる産業は大いに伸ばしながら地域全体を元気にする戦略が求められていると思います。
本来でございましたら総合戦略の中にこの問題が位置づけられるべき問題ではなかったかと,このようにも思うわけであります。
中小企業庁によると,今後10年間で70歳を超える中小企業小規模事業者の経営者は全国で約245万人で,半数超の127万人が後継者未定,愛媛県は県内も同様の傾向で,深刻な状況という危機感を抱いているとの記事もございます。後継者がいなければ自然消滅をせざるを得ず,極めて重要な問題でもございます。そういう点で,改めて地域の中小零細企業者の頑張っている皆さんに行政が大きく手も差し伸べてもいくという意味合いのこの振興条例,改めてこれらの問題についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
産業支援課長
お答えいたします。
後継者不足という点についてでございますが,まずその中の事業承継についてでございますが,経営者の経営能力に依存する中小企業にとって,経営者の高齢化と後継者難は,業績悪化や廃業に直結する問題であります。中小企業者が後継者の確保はもちろん,円滑な事業承継に向けて早期から計画的に取り組むことが求められている状況であります。
このような中,県におきましては,中小企業における円滑な事業承継対策を促進するために,さまざまなサポート事業を行うとともに,事業承継に係る支援資金の信用保証料の補助制度等も取り組んでおられます。
市としましても,これら助成制度について商工会議所や商工会等の関係機関と連携しながら周知するとともに,事業承継の準備につきましては積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
3)統計から見る市内中小企業者の動向と助成制度の充実
青木永六議員
ありがとうございました。
基本的には同じ認識で進んでいると思っております。
3番目は,統計から見る市内中小企業者の動向と助成制度の充実という点についてであります。
全事業所数,平成3年5,626事業所が平成26年には4,531事業所へと1,095の事業所が減少をいたしました。19.5%。
建設業で言いましたら505事業所から391へ,114事業所の減,22.6%。製造業全体では895から624事業所へ,271事業所の減,30.3%。卸・小売になりましたらひどい状況で,2,361から1,139へ,1,222事業所の減少,51.8%に及んでいます。
従業者数では,平成3年時点が4万8,851人から4万5,281人へ,3,570人の減少,7.3%となっています。
ちなみに全産業別総生産高で見ますと,これ統計は平成19年,4,639億500万円が,平成26年,7年後には4,422億100万円に,217億400万円,4.7%の減少ということになっております。
これらの統計は,愛媛県の統計年鑑あるいは県の統計協会,これらのデータによるものであります。
ちなみに人口の問題では,合併前平成2年10月には9万7,215人が,ことし3月末で8万8,096人,9,119人,9.4%の減というようになっております。
長期スパンのこの統計で御紹介をいたしましたけども,御案内のように,全産業の総生産は地場産業の紙産業が堅調という理由か,落ち込みが割合と少ない。他はそれぞれ私が想像した以上の落ち込みとなっています。
このような現象をどのように見るか。原因も含めてどう分析するか,これが非常に大事だと思うわけですけれども,同時にこの中で将来のまちづくりに中小企業者の役割をどう位置づけていくか,基本的な視点でお尋ねをしたいと思うんです。
また,当市も中小企業支援に頑張っておるわけですが,資料を見ますと,新居浜市はホームページで見た範囲では,事務所等の賃借事業あるいは新事業展開,新製品の開発事業とかインターネットショップ等活用販売拡大事業,女性活躍環境整備推進事業など,大小17種類の助成制度がございます。
聞いてみましたら,余り動いてない制度もあるようでございますけども,当市も具体的な助成メニューを検討する,拡大をする,そういう必要を感じるところでございますが,あわせてお考えをお尋ねしたいと思います。
経済部長
お答えいたします。
議員御指摘のとおり,市内の事業所数,従業員数,総生産額につきましては,減少傾向にございます。これは,中小企業が抱える最も大きな課題の一つとして,昨今の人口減少による人材,後継者不足といったことが要因として挙げられます。
本市にとりましても中小企業は市内事業所の大部分を占めておりまして,市民生活を支える重要な存在であり,また産業振興や地域活性化の源泉であることから,平成29年度より地域産業人材定着事業を実施しているところでございます。
これは,将来の担い手となります市内の小学生から高校生を対象に企業見学や物づくりを体験してもらうことにより,地元産業への興味,将来的な定住につながればと期待しておるところでございます。
また,本年4月には愛媛大学紙産業コースの新校舎が完成し,本市にも同大学の社会共創学部生を迎えることができました。
また,産官学連携でのフィールドワークに参加する学生を受け入れることは,本市に興味を持っていただき,中小企業が抱える問題解決の一助になるのではないかと期待しているところでございます。
次に,議員御指摘の幅広い助成制度の充実でございますが,本市では,これまでも各種団体へ補助金などによる支援を行っておりますが,特にその中でも中小企業の支援策といたしまして,事業継続や新規事業の展開をサポートする四国中央市中小企業融資事業また経営・創業支援事業として行っておりますビジネスセミナーや起業塾,企業合同就職説明会や中小企業工場管理者養成研修の開催など,各種事業を通して支援に努めているところでございまして,今後も商工会議所や商工会等と連携をとりながら取り組んでまいりたいと考えております。
青木永六議員
基本には人口減少があるよと。全体がしぼんできているという現象は基本的にあるわけですけども,そこで昨今御案内のように,大型店なんかの攻勢ですね。これによって今御紹介もいたしましたように,小売・卸売,この減少というのは非常に際立っているということも御紹介をしたとおりでございます。
しかしながら,こういう業者の皆さんが地域で,隅々で頑張っておるというのが地域住民の生活を支え,また励ましにもなるという点はお互いに地域で生活をしておりましたら非常に最近感じるところでもございます。
そこで,これら中小零細企業は地域に雇用と消費を生み出していると。地域内の経済循環も担ってきたと。そこが非常に大幅に減少をしてきたと,こういう昨今の中で,この地域の中小零細企業の活性化,これを取り戻すことが地域全体の元気を取り戻すことにもつながっていくと,このように思うわけでございます。
この点で,篠原市長に最後に私お尋ねをしたいんですけども,篠原市長は県議時代には御苦労もされて,県政の中にこの振興条例をつくる役割を果たしました。篠原市長の任期中にこの問題手がける御意思はないでしょうか。ぜひ御所見を伺いたいなと思うところです。
市長
おまえがしゃべれということですから,私から言いますけど,基本的に自由主義経済の資本主義体制をどういうふうに認識しているか,それによって議員さんと私では根本的な考え方の違いが出てくるんじゃないかと。
県の中小企業振興条例をつくったときに,一番言われたことは,中小零細は理念は要らない,実質的にプラスになることを条例につけ加えてくれと,そう言われたんです。
例えば公共事業であれば全て県内業者に発注せよ,そして役所が購買するものは全て県内業者から買えと,そういうような具体的なことになって,理念では始まらない。そういうことですから,実際の自由主義経済の体制とは相入れないところが出てくると。
それと,本市の産業力の強さは,大王製紙を筆頭にユニチャーム,カミ商グループ,そして福助,中小と全国規模の大企業あるいは世界規模の会社,それを埋めるように10億円から50億円,また10億円以下から3,000万円の間の会社がそれぞれ切磋琢磨しながらここの産業構造をつくってきている。
だから,篠原に言わせば,紙を中心とした産業群,それがここのまちの力ということですから,振興条例をつくったけんというて振興が図れるものではない。それだけの資本主義経済というのは難しいものを持っていると,私はそういうふうに認識しております。
青木永六議員
確かに現在の資本主義体制に対する認識の程度というのは,私どもと一にするところでございますけども,とりわけ現在のアメリカから入ってまいりました新自由主義経済のあり方,これはこれまでの自由主義経済とも一にするものでございまして,今問題になっております一握りの大企業,大資本家ですね,世界を席巻するような企業活動の中で,振興が非常に進んでいる。働く方も非常に危なっかしくなってきた。多国主義企業と言われる企業は,世界もこれも席巻をして,日本で言うんだったらトヨタだとかですね。実際はトヨタ自動車というのは日本の企業という認識の方が非常に多いわけですが,今日では世界を股にかけて稼ぐ企業でございます。
そういう状況の中で,地域の経済をどうするか。この点は私は市長と膝を交えて話をするならば一致点は必ずつくれると,このように思っているところでございます。
話は長くなりますけども,先日のアメリカと北朝鮮の共同声明,これからが始まりです。この話し合いによって本当に世界の平和,北東アジアの平和をつくっていけるかどうか,今後にかかっていると。ですから,胸襟を開いた話し合い,やっぱりこの地域,経済,住民をどうするんかという立場で見ましたら,私この中でも発言をしましたように,伸ばせるところは大いに伸ばしながら,全体をどうするのかという視点が必要ではないかと,このように思っておりますので,ぜひ再度お考えもいただいたらと,このように思います。
この点を要請をいたしまして2つ目の国民健康保険問題に入ります。
1)H30年度国保料はどうなる
青木永六議員
まず第1点は,平成30年度国民健康保険料はどうなる。国民健康保険の都道府県移管化初年度の保険料が一体幾らになるのかが注目をされています。
国は1兆円の公費負担増を求める全国知事会の要求を拒みながら,今年度から3,400億円の公費支援を決定し,余りに高過ぎる保険料に渋々ながら一定の保険料対策をやらざるを得なくなっています。
伝わってきております今年度1人当たり国民健康保険料約10万3,000円で,平成30年度同一条件で平成29年度との保険料比較は,1人当たり約5,000円程度の減額と言われています。
私ども議員団も,何としても引き下げをと求めてきた関係で,大いに歓迎するところでございますが,1人当たり10万円を超えるわけですから大変です。ここは引き下げにかじを切った篠原市長の姿勢を評価をするところであります。
そこで,まずはこの引き下げ可能となった原因と言われる平成29年度での実質約4億円とされる繰越金や国の激変緩和措置などについて,さらに引き下げた保険料の継続性についても問うものであります。答弁を求めます。
副市長
国民健康保険料について私からお答えをしたいと思います。
平成29年度決算,これにおきまして保険給付費の伸びが想定より低かったと。また,収納率の向上によって歳入財源が確保できたこと。そうしたことによって青木永六議員先ほど言われておりましたように,約6億円の繰越金が出る見込みとなりました。
それと,これに加えまして広域化による激変緩和措置,この対象市町が県内では少なかったと。それによってそれ以外の市町も納付金額が減算されたことなどの要因によりまして平成30年度,今年度の国民健康保険料,これを現在引き下げる方向で調整を行っております。
そしたらその財源はどういうことだといいますと,引き下げ財源について少し触れておきますと,先ほど申し上げましたように,繰越金約6億円,このうち財政調整基金への積み立てあるいは今年度必要な経費を差し引いた額,先ほど青木永六議員言われました約4億円,この一部を充当したと,そのように考えております。
また,平成30年度以降におきましても,被保険者数の減少でありますとか高齢化,あるいは医療の高度化などの要因により保険料負担は右肩上がりになると,そういうことが予想されますので,歳入の確保あるいは歳出の抑制に努めるとともに,被保険者の負担を軽減するために,繰越金の活用でありますとか,6年間に限って継続される見込みの激変緩和措置,これによって保険料の維持,そして何よりも保険事業の持続可能な安定的な運営が図れるよう努めてまいりたいと,このように考えております。
青木永六議員
ということでございますけども,約10万3,000円になる1人当たりの保険料,1つはこれ何年間これを継続をしていけるかどうかという問題も大いに関心事でございます。
そこで,私どもは平成30年度で基金の積立金が約3億円程度というふうに聞いておるわけでございますけれども,将来的に場合によっては積み立ての3億円を運用することで保険料の1人当たり10万3,000円を維持しさらに継続をさせていくということが可能なんだというふうに考えておるわけですけども,この点についての基本的な考えを問うものであります。
副市長
ご質問ありました基金3億円にことし少し積み立てますから,見込みとしたら3億5,000万円ぐらいになるかと思います。この基金というのは貯金ですから,大体人は貯金があったら使おうとするんですけども,この基金3億5,000万円は保険料の削減という部分には使う考えは現在のところありません。
これから高額な薬品の出現でありますとか,診療報酬,これの改定によって国民健康保険財政も逼迫してまいります。そうした不測の事態が生じたときにこの基金は活用していく,充当していく,そういう今後将来的にわたっての国民健康保険の安定的な運営のために,そのときまでは現在活用する考えはございません。
2)高すぎる国保料、重いペナルティなどの構造問題
青木永六議員
この問題はこれからの問題でございますので,引き続きまた議論もしていきたいと思うんですけども,2番目に入ります。
高過ぎる国民健康保険料,重いペナルティーなどの構造問題ということについてであります。
平成30年度の保険料設定案では,今申し上げましたように,前年対比で約5,000円程度引き下がるということではございますけれども,この条件で40代の夫婦,子供2人,子供さんは学校へ行ってる子供さん,4人世帯で所得が250万円,固定資産税が10万円世帯の家庭で試算をしていただきますと,今年度の保険料は50万8,620円になります。さらに,この家庭,所得が150万円ということになりますと,同じ条件で年間の保険料が35万8,432円ということになります。それでも平成29年度比ではそれぞれ約3万8,000円,約2万4,000円下がっているわけでございます。
この二通りのケースで年間所得に占める国民健康保険料の負担率というのは,20%から24%になりますから,まさに大変だと思います。
このケースを多くの労働者,サラリーマンが加入をしております協会けんぽ,以前は政府管掌健保と言っておりました。ここと比較をいたしますと,月額の報酬21万円までの方は,労使折半をいたしまして本人負担が月額1万1,670円,年額にして約14万円です。また,月額報酬13万円までの方は月額7,352円,年間8万8,224円。片や50万円以上,片や年間14万円,このように大変大きな差があるわけでございます。
国民健康保険はこれだけに終わりません。保険料の滞納によりましたら一,二カ月の短期保険証を発行されたり,1年以上の滞納になりましたら資格証明書ということで保険証が取り上げられます。こういうペナルティーがあるわけですから,たまったもんではありません。
このように,現在の国民健康保険は,社会的弱者の医療制度が弱者を排除するシステムを持っているわけであり,加入者,国民サイドでの改革が切実に求められておりますけれども,保険者である自治体としてどのように考えるか。当然制度の枠内での改善ということをまず考えるとは思いますけども,この範囲ではどうにもならない大きい構造的な問題があると思います。国の負担割合大幅アップなど,この改革を求める必要があると思います。当市の資格証,短期証の発行状況や発行基準など,あわせてこの問題についてお尋ねをしたいと思います。
市民部長
国民健康保険の構造問題についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり,国民健康保険はほかの医療保険制度と比較すると,加入者の所得に対する保険料負担が高くなっております。これは,国民健康保険の年齢構成が高いため,1人当たり医療費水準も高くなっていることや,被用者保険には事業者負担があることなどが影響していると思われます。
国民健康保険は前期高齢者の加入割合が高いのですが,この年齢構成の不均衡に対しましては,主に被用者保険が財源を負担する前期高齢者交付金を受けるなど,各医療保険間で財源調整が行われているところでございます。
次に,短期証,資格証についてですが,平成30年5月末現在の交付世帯数は,短期証が284世帯,資格証が202世帯で,ここ数年減少傾向となっております。
交付要件ですが,短期証については,過年度に滞納がある方で,納付相談において取り決めた納付方法を履行すると認められる場合に交付しております。また,資格証は,国民健康保険法第9条の規定により,特別な事情もなく1年以上の滞納がある方に対して交付しております。
いずれの場合も電話などによる納付相談の呼びかけや直接会って誠実に丁寧に納付相談を行うなど,国民健康保険制度についての理解と納付意識の向上に努めているところでございます。
今年度国民健康保険広域化が始まったばかりでありますので,今後も国の動向に注意しつつ国民皆保険制度の大切さを啓発してまいる所存でございます。
青木永六議員
このような構造的な問題がある国民健康保険の中で,調べてみましたら,自治体独自の減免の拡大あるいは子供さんなどの均等割,多子世帯の国民健康保険料の減免など,そのような方向に踏み出してきている自治体がふえていると,こういうことも報道をされております。
ぜひこういう構造的な問題の改革のために,ぜひ国や県のほうにも声をかけていただいて,上げていただいて,大もとからやっぱり改革を進めていくと,そういう点にも御尽力をお願いをいたしましてさらに前へ進めます。
3)アメとムチの「保険者努力支援制度」の内容
青木永六議員
3番目のあめとむちの保険者努力支援制度の内容についてであります。
国民健康保険の都道府県化と一体にスタートしたこの制度は,県や市町村の保険料徴収率など国民健康保険行政のあり方を国が採点をし,成績がよいと評価をされた自治体に予算を重点配分する仕組みと言われています。この採点項目や採点結果,この内容や方向性を問いたいと思うわけです。
加入者には高過ぎる国民健康保険料,資格証などのペナルティー,保険者には努力支援制度で差別化をしていく。福祉としての国民健康保険を守るために被保険者にどう寄り添っていくか,こういう視点も含めて御見解を問うものであります。
国保医療課長
保険者努力支援制度についてお答えいたします。
この制度は,個人や保険者の取り組みを促すインセンティブのある仕組みの構築が重要との観点から創設され,国民健康保険においては平成28年度から前倒し実施されております。
平成30年度の評価指標は,平成27年度から平成29年度における取り組み実績をもとに算出されることとなっており,保険者共通の指標として,特定健診・特定保健指導の実施率や糖尿病等重症化予防の取り組み状況等があり,国民健康保険固有の指標としては,収納率向上に関する実施状況や医療費分析に関する取り組みの実施状況等があります。
各指標の取り組み状況に応じて加点された合計点数に被保険者数を乗じた総得点を予算総額の500億円で案分した金額が交付される仕組みで,当市では今年度約3,600万円の交付を受ける見込みでございます。
指標につきましては,毎年度見直されることになっておりますが,取り組みに対して交付金が交付され,それが保険料の上昇抑制に資することから,国の動向に注視し,鋭意取り組んでまいります。
青木永六議員
答弁のとおりなんですけども,当然収納率についてもその項目の中にあるんだろうと思うんですけども,収納率を1%上げようと思いましたら,当市の会計を見ましたら約1,700万円程度保険料を徴収しなければならない。現在の滞納者の方々から1%に当たる1,700万円も徴収するというのは,本当に至難のわざだろうと,このように思うわけでありまして,これを実現するとなると,さらなる痛みの押しつけをやらなければならないと,このようにもなってくると思うわけであります。
そういう問題については,やはり国に対してそういう差別的なことはやめてほしいということもお互いに声を上げながら,ぜひ国民健康保険が加入者の皆さんのためになるような制度に努力をしていきたいと,このようにまた要望をいたしましてさらに進めてまいります。
4)増える保険料の滞納処分、差し押さえの理由を問う
青木永六議員
国民健康保険の最後は,滞納整理の差し押さえの問題です。
ふえる保険料の滞納処分,差し押さえの理由を問うという問題であります。
平成23年度愛媛県下全自治体の滞納世帯数3万5,471世帯のうち,延べ差し押さえの件数が1,071件で,滞納世帯比3%ということです。延べの差し押さえ金額が2億2,520万円。愛媛県下で差し押さえ件数ゼロは四国中央市のみでございます。この時点でね。
平成26年度全国での差し押さえ件数,調べてみましたら,27万7,303件,滞納世帯に対する差し押さえ率は8.2%,差し押さえ金額が何と943億1,400万円とエスカレートをしています。
当市は全国でも遅くまで差し押さえは控えて頑張ってきた自治体に入っておりまして,この点については一定の評価をしているところでございます。
そこで,当市の実態に入りたいと思います。平成28年度が7件,70万8,720円でした。平成29年度が28件,511万7,264円と,最近急増をしてきています。
さきに紹介をしましたように,高過ぎる国民健康保険料の支払いが滞ると,差し押さえによる強制徴収では余りにもひどい。国がその方向に仕向けているのは紹介をしたとおりであります。
この強制徴収の法的根拠は,国税徴収法であり地方税法ですが,預貯金や保険などの財産を有無を言わさず取り上げるわけですから,真にやむを得ない場合に限ってのみ許される。当然のことであります。
現在の国税徴収法は,他の先進国にはない自力執行権を認めております。令状によらない財産の捜索,差し押さえなどを可能にしているわけであります。
1959年に制定された国税徴収法の立案にかかわった租税徴収制度調査会の会長を務めた日本法学界の巨星で民法学の大家,我妻 栄氏は,1960年に出版をした国税徴収法精解の序文でこのように書かれています。このことは単に近代司法取引制度に対する例外であるだけでなく,近代法治国家の公権力の作用としても異例に属する。にもかかわらず調査会がこれを承認をしたのは,納税義務者の態度のいかんによってはかような制度を必要とする場合もあり得ることを認めたからである。言いかえれば,これらの優先的効力の主張も,強制力の実施も真にやむを得ない場合の最後の手段としてこれを是認せざるを得ないと考えたからである。したがって,徴税当局がこれらの制度の運用に当たっては,慎重の上にも慎重を期することが当然の前提として了解されているのであると述べています。
このように,最後の手段として慎重の上にも慎重でなければならないわけであります。
そこで,最近急増している差し押さえの問題,この理由は何なんでしょうかということをお尋ねするんですけども,国保医療課のほうでは,今も紹介しましたように,ぎりぎりまで差し押さえをしない,控えてきたと。また,悪質を見分ける,そういう努力もしていると,いろいろ説明もございました。最後の最後の手段としてやむを得ない場合に限ることが求められておりますけれども,差し押さえの基準,手続はどのようになっているか,お尋ねしたいと思います。
国保医療課長
お答えいたします。
まず,国民健康保険料に係る差し押さえの基準,流れでございますが,納付相談にも応じない,または納付誓約書を提出したにもかかわらず不履行が続く場合に,国税徴収法等の規定に基づき預貯金調査を実施します。
調査の結果,納付できる資力がありながら国民健康保険料を滞納している方に対し,一旦自主納付を求めた後,御理解いただけない場合に差し押さえ事前通知を発送しています。それでもなお分割納付にも応じていただけない場合に,やむを得ず差し押さえを行っているところでございます。
差し押さえ財産は,預貯金と生命保険証書を対象としており,預貯金口座に給与振り込みがあった場合は,判例により全額差し押さえ可能と考えられますが,給与生活者の生活維持を図るため,滞納者につき10万円,被扶養者1人につき4万5,000円を残し差し押さえております。
このように,生活権にも十分配慮しつつ滞納処分を行っておりますが,本年度の国民健康保険料を引き下げる見込みとなった要因の一つに収納率の向上が上げられることから,今後も国民健康保険料を安定させる見地からも,悪質滞納者に対しましては差し押さえの執行もやむを得ないものと考えております。
青木永六議員
生活には配慮をして手続を進めている,そのような答弁であったかと思うんですけども,この点の最後に,鳥取県の児童手当の差し押さえ事件,これが裁判になりまして,当時の与謝野財務大臣が,具体的に支給されたものが実際使用できなくなるような状況にすることもまた禁止されていると解釈するのが正しいと,このように答弁をし,また当時の総務大臣は,事前に生活状況を把握をしておかなくてはいけない,このようにも答弁をされています。
これらの点を今後も踏まえて慎重な行政を進めていただく,そのことを要望をいたしまして最後の質問に入ります。
1)立地適正化計画における居住誘導区域とはについて
青木永六議員
最後の大きい3番,コンパクトシティーと公共インフラの確保の問題です。
今本格的な人口減少や少子高齢化に備え,国は地方創生として自治体みずから地域再編の各種計画を進めるよう仕向けてきています。具体的には,総合計画や総合戦略,公共施設等総合管理計画などであり,最新版がコンパクトシティ・プラス・ネットワークの居住誘導区域であります。
3月議会,三好 平議員の代表質問でありましたように,居住誘導区域総面積は1,561.6ヘクタール,これは都市計画区域の11.47%,行政区域全体の3.71%にすぎません。今後多くの地域が公共投資その他で置き去りにされるのではないかと,そのような自然な疑問が湧いています。
6月の市報にも掲載をされておりますけれども,まずは立地適正化計画における居住誘導区域とはについて答弁を求めます。
市長
この件について私のほうから答弁申し上げておきます。
立地適正化計画における居住誘導区域とはについてお答えいたします。
平成30年3月30日公表いたしました四国中央市立地適正化計画,それは急激な人口減少や超高齢化社会において現在の暮らしやすさの持続可能なまちを実現するため,医療・福祉・商業などの日常生活サービス施設や住宅の立地の適正な誘導を総合的に推進していくことを目的に策定されたものであります。
具体的には,区域の指定により,居住や都市の生活を支える機能を緩やかに誘導し,地域交通と連携を図ることでコンパクトシティ・プラス・ネットワークのまちづくりを進めていくものであります。
この立地適正化計画で定める居住誘導区域につきましては,都市機能が集積する利便性の高い地域として定めた都市機能誘導区域に容易にアクセス可能な鉄道駅周辺を初め,国道11号線のバス路線沿線などの利便性の高い地域を居住誘導区域と定めております。
なお,居住誘導区域は年月をかけて緩やかに居住の誘導,集約を促していくもので,住む場所の選択肢の一つとして設定したものであります。
この居住誘導区域外については,3月議会で代表質問でも答弁いたしましたが,3戸以上の住宅建築や1,000平米以上の宅地開発など,一定規模以上の行為について届け出の対象となりますが,個人が行う住宅建築や建てかえを制限するものではありません。
また,一定の人口密度を確保するために居住を誘導する区域としているものであり,整備を行う区域を設定したものでもありません。
今後におきましても,居住外の住民への公共サービス等の低下は招くことなく,それぞれの地域に必要な公共事業は継続的に実施していくものと考えております。
2)公共下水道整備計画と居住誘導区域外への整備見通しについて
青木永六議員
この項の2点目,下水道の整備計画と居住誘導区域外への整備の見通しについて答弁をお願いします。
建設部長
お答えいたします。
まず,当市の公共下水道事業でございますが,議員御案内のとおり,旧川之江市と旧伊予三島市内の事業認可区域で事業が実施されております。
また,土居地域につきましては,合併処理浄化槽などの汚水処理が行われているところでございます。
現在国からは,汚水処理施設の整備を早期におおむね完了するよう要請されております。中でも公共下水道につきましては,平成38年度までの10年間でほぼ完成とした中期計画とするよう求められており,平成28年度にアクションプランを策定し,合併浄化槽などを含めた汚水処理人口普及率の目標を約86%に設定しております。
議員御質問の公共下水道事業につきましては,居住誘導区域内外を問わず,事業認可区域内での事業を実施しておりますが,長期的に汚水処理人口普及率の向上を目指し,地域のニーズ及び周辺環境の影響を踏まえ,汚水処理手法の区域を見直しながら,維持管理を含め,より効率的に下水道の整備を行いたいと考えております。
3)上水道給水整備計画と居住誘導区域外への整備見通しについて
青木永六議員
ありがとうございました。
引き続き上水道の整備計画とこの問題について問うものであります。(質問時間終了の合図)答弁お願いします。
水道局長
お答えいたします。
市内の上水道の整備につきましては,居住誘導区域であるかどうかにかかわらず,必要な箇所への配水管の布設等,一定の整備は行えている状況でございます。
今後,老朽化した設備の更新等が課題となってまいりますが,現在土居地域で北地区簡易水道の老朽化した水道施設の更新工事を平成28年度から4カ年計画で実施しているところでございますが,今後市域全域で計画的に取り組んでまいります。
また,今年度から3年間かけて策定いたします水道事業ビジョンでは,健全で効率的な事業運営を維持し,安全でおいしい水を安定的に供給するという水道事業者の責務を果たすため,現状の課題を明らかにするとともに,今後の進むべき方向性を示したいと考えております。
- 2018.06.25 Monday
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